適用事例

中空導波路の例

ガラスキャピラリを用いた可能性中空導波路

金属管を用いたレーザプローブ

フレキシブルな中空導波路には,母材材料として一般には石英ガラスキャピラリが使用され,その内壁に金属および誘電体の薄膜が内装されている.
短尺な金属パイプを母材とするリジットな中空導波路もフレキシブル導波路の出射端に接続される先端チップやレーザプローブとして採用される.

レーザ治療器

中空導波路は,Er:YAGレーザ光(波長2.94μm)やCO2レーザ光(波長10.6μm)用など石英光ファイバが使用できない赤外レーザ光伝送路として使用されている.
Er:YAGレーザの発振波長は水の吸収スペクトルのピーク波長に一致し、歯などの硬組織の切削に適しており主に歯科用治療器に適用されている.一方CO2レーザは、止血効果を有しながら軟組織の切開に適し,主に耳鼻咽喉科用に使用れている.可撓性のある導波路の先端には,金属製の先端チップが取り付けられ,これもまた中空導波路が適用されている.

内視鏡下レーザ治療への適用

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)への適用
内視鏡下生体ブタCO2レーザ照射(動画)

CO2レーザ光を中空導波路により伝送し,これを電気メスに代わるエネルギーデバイスとして内視鏡的粘膜下層剥離術ESD(Endoscopic Submucosal Dissection)への適用が検討された.ESDは,早期消化管癌を対象とする患者への負担が少ない低侵襲な治療法である。レーザ光は,処置具先端から真直ぐに照射され,切開方向を正確に特定しながら非接触で切開できるので施術部の状況も把握しやすい.

温度計測への応用

金属管プローブを用いた微小領域の温度計測

発熱体から放射される赤外線は,プランクの放射則に従い分光放射輝度のピーク波長は低温ほど長波長側にシフトする.室温においては,そのピーク波長はほぼ10μm帯に存在し,石英ファイバでは常温から数百度の比較的低温の放射温度計測は難しい.中空構造の導波路は,入射可能な受光角,あるいは出射光の発散角が小さく,接近した微小領域の温度検知や遠方の発熱体を狭視野角で捉えるなどのプローブに適している.